ゲーム攻略「軽井沢誘拐案内」~第1章

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クミコ

その夜、ボクは恋人クミコが待つ彼女の別荘へ車を飛ばしていた。 予想外の渋滞に巻き込まれ、すっかり遅くなってしまっていた。
「急がなきゃ・・・。そういえば彼女、妹と二人で来ているって言ってたっけな。きっと妹が彼でも呼んだものだから自分も淋しくなって僕に電話してきたんだろ。」
やがて、一件の別荘が見えてきた。
「あっ、あの別荘かな・・・?」

インターホンを押すと、勢いよくドアが開いてクミコが出てきた。
「ワッ、あなた!! やっと来てくれたのね。うれしい~。今ちょうど妹のなぎさは買い物に行ってるのよ。」
ボクは、久しぶりに会うクミコの顔をじっと見つめた。
「どうしたの、そんなに見つめて? アタシどこか変?」
「そんなに見ないで・・・。恥ずかしいわ・・・。」
「なぜかな・・・。どうしてもキミを見つめてしまうんだ。」
「あなた相変わらずクチがうまいわね。アタシ、見つめられるの弱いな・・・。」
さすがにもうやめておこう。
「ところでごめんね、遅くなっちゃって。道が混んでいたから・・・。」
既にあたりは真っ暗になっていた。
「ウソ!! 他の女の人と会ってたんでしょ。」
「いや、だからほんとに・・・」
「・・・分かったわ。信じてあげる。」
「ありがとう。」
ようやく信じてくれたみたいだ。ボクはとっさに話題を変えた。
「それはそうと、なかなかいい別荘だね。」
「死ぬ前にパパが買ったものよ。」
「そうだったね・・・、キミの両親は・・・。」
そう、クミコの両親は去年事故で亡くなっていたのだ。
「やだ、急にシンミリしちゃって。気にしないで。それより、中に入ったら?」
クミコにすすめられるまま、ボクは中へ入った。

「まぁ、楽にして。」
「うん。」
ボクたちは、ソファに座った。
「きれいに片付いてるでしょ。アタシこれでもお掃除は得意なんだ。」
確かに、部屋はきれいに片付いていた。
「もう少し中を見せてくれない?」
「あっ、ダメ。ちらかってるから・・・。」
「そう・・・。」
ボクは、クミコの肩に手を回し、そっと抱き寄せた。
「こっちへおいでよ。」
「あなた・・・。会いたかったわ。」
「ああ、ボクもさ・・・。ところで、ここに来て毎日何してたの?」
「別に。なぎさはフラフラ出かけてばっかだし、あなたのことばかり考えていたわ。」
「ほんとかなぁ・・・。」
「でも、あの子なにやってるのかしら・・・。」
クミコが壁の時計に目をやる。
「で、キミの妹、なぎさちゃんだっけ。どこまで行ったの?」
「ええ、駅前までおしょうゆを買いに行ったのよ。」
それからしばらくクミコとの会話を楽しんだ。
しかし、なぎさちゃんが帰ってくる様子はいっこうになかった。
「あの子まだ帰らないわ・・・。ねえ、まさか誘拐なんてことないわよね?」
「まさか、考えすぎだよ。」
なぎさちゃんだって、年頃の女の子だ。少しぐらい寄り道したってちっとも不思議じゃないだろう。
「でも、もうこんなに遅くまで帰らないなんて・・・。あの子に何かあったんだわ。警察に電話しようかしら。」
心配性のクミコが言い出した。こうなったらもう、誰もクミコを止められない。一度言い出したらきかないのだ。ボクは、受話器をとって110番に電話した。
「あっ、警察ですか? 実は友達の妹が買い物に行ったまま戻らなくて・・・。」
「ねっ、誘拐かもしれないって言って!!」
横からクミコが口を出す。
「で、もしかしたら誘拐じゃないかと・・・」
電話を終わって、
「ね、どうだった?」
クミコが聞いてくる。
「すぐにここに来るそうだよ。」
「ホント? でもごめんなさいね。せっかく来てくれたのにこんなことになって・・・。」
「キミが悪いんじゃない。謝ることはないさ。」
それからしばらくして・・・
「あっ、車の音よ。もしかして妹じゃ・・・?」
「いや、警察みたいだね・・・。」

電話

「なるほど。だいたいの話は分かりました。しかしですね、特に脅迫電話があったわけでもないし。それに聞けば妹さんには放浪癖があったらしい。妹さんは確か18歳でしたね。まっ、今のところ事故の報告もないし、そのうち帰ってくるのでは? あまり心配せぬことです。一応こちらでも探してみますが・・・。また何かあったら知らせてください。では、わたしはこれで・・・。」
刑事さんは、取り合ってくれずそそくさと帰ってしまった。

「帰っちゃったね。脅迫電話がないと事件として扱わないか・・・。警察なんて冷たいものだな。」
その時、電話が鳴った。
「あっ、電話よ!!」
とっさにクミコが受話器をとった。もしかしてなぎさちゃん?
「はい、もしもし。高木ですが。」
・・・・・・・・・・
「どうしたの?」
「切れちゃったわ・・・。」

捜索

そして、そのまま夜が明けた。すがすがしい、いい天気だ。
「やあ、小鳥が鳴いてるね。」
「おはよう。昨日はよく眠れた?」
「きみこそどうなの? なぎさちゃんまだ帰ってないみたいだね。」
クミコの目は真っ赤に充血していた。心配で一睡もできなかったようだ。

「ほんとになぎさどこに行ったのかしら・・・。確かに出歩いてばっかの妹だけど、買い物に行ったまま帰らないなんて不自然よね。それにあの電話気になるわ・・・。」
いくら放浪癖があるといっても、買い物に行ったまま戻らないというのはさすがに変だ。もしかしたら何かの事件に巻き込まれたのかもしれない。どうせここにいても仕方ないから、クミコと一緒になぎさちゃんを探してみよう。そうクミコに言うと、
「エッ? 一緒に妹を探そうですって? あなた頼もしいわ!! そうよ。警察なんて当てにできないんだから・・・。」

「ねっ、二人で探せばきっと見つかるわよね。今出かける準備をするわ。ちょっと待っててね。」
そう言って、クミコは着替え始めた。ついつい着替える様子を見てしまう。
「やだっ、そんなにジロジロ見ることないでしょ。本でも読みながらまっててよね。」

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